プログレ系リスナーとしてのレビューです．ジャズファンの方はまた違った評価軸があるかもしれません．

なんといっても冒頭1曲目のインパクトは強かったです．トリオ構成で音密度の限界に挑戦したかのようで，ZAO一派にも似た混沌を精緻なリズムで描き出している様には鳥肌が立ちました．その混沌の大河の上に浮き上がり躍動するPavel氏のピアノ．役割をはっきりさせながらも3人が一歩も譲らない白熱の展開は圧巻でした．

2～4曲目の3部構成は，もう少し練りこまれたらプログレ視点でも楽しめそうです．そして5曲目の静のパートで，1曲目のようなゴリ押し系だけではなく，ご術的にも構成力の面でも高い可能性を持っていることがわかります．
これが1stとは信じられない完成度と思えますが，様々なパートで「この部分を発展させたら！」と次作以降に期待を抱かせられました．わずかに演奏に硬さも感じられるけれど，それもまた1stアルバムの魅力．将来も愛聴盤になる可能性がありそうです．

テクニカルなジャズロックファンなら一聴に値するかと．
★4つなのは，次作への期待を込めて．